腕輪 同じ時間を何度でも繰り返せるとしたらあなたは何をしますか? でもこれは望んだ時間をやり直せる訳ではない。 永遠と続く『メビウスの輪』 そこから抜け出す方法は一つだけ。 この話はそれが現実に起きてしまった主人公の少年を含む六人の少年、少女の語。 北川歩。 それが俺の名前。 16歳の高校2年だ。 成績も普通。 運動も普通。 まあどこにでもいるような高校生だ。 今日もいつものように学校へ行く。 ただその日は昨日の寝不足のせいで、午後の授業をさぼり俺は屋上でずっと眠っていた。 ……… …… … †歩† 「…ん、さむっ」 冷たい風の感じで目が覚めた。 †歩† 「……ここ、どこだ?」 まだ寝ぼけ気味な意識だが、徐々に頭が覚醒していき今の状況を把握してきた。 †歩† 「…ああ、俺、屋上で寝ちゃったんだっけ?  てかもう夜じゃん・・・」 携帯を取り出し時間を確認する。 -PM 7:40- †歩† 「俺、今までずっと寝てたのかよ。  誰か起こしてくれよな」 そんな自分勝手な事をぶつぶつ言いながら俺は屋上をあとにした。 屋上のドアから出て校舎内に入ると、誰もいなくなったはずの屋上で何か音がした。 カランッ!!! カランッ!!! カラカラ!! †歩† 「な、なんだ」 1度は閉めたドアをもう1度開けてみる。 ちょっと怖いんでゆっくりと開けることにした。 †歩† (俺以外に誰かいたのか?) さっきは気付かなかったが何しろ寝ぼけていたしよく覚えていない。 その疑問を解決するべく、そのままドアを開けていく。 そのまま恐る恐るドアを開けて屋上を見渡した。 †歩† 「…あれ?誰もいねぇ…。  おっかしいなぁ?確かになんか音がしたはずなのにな?」 気のせいかと思ったが納得しきれず、狭い屋上をぐるりと1周した。 だがやはりどこにも人影はなく、気のせいだったと強引に自分を納得させ、 再びドアに向かって歩き出した時、俺は何かを足にひっかけ、蹴ってしまった。 カンッ †歩† 「いてっ、何だ?コレ??」 蹴ってしまった物を拾って見てみた。 †歩† 「…腕輪…だよな?」 俺が蹴ってしまったのは、変な形をした腕輪だった。 金属で出来た銀色をした腕輪だ。 どうやらさっきの音はコレがどっかから落ちて鳴った音だったみたいだ。 †歩† 「ったく、焦らせやがって。  誰かいると思ったじゃねぇか」 腕輪にツッコミを入れてもしょうがないけど、一応言っておいた。 とりあえずその腕輪をポケットに押し込み俺は帰宅した。 家に帰宅した俺はさっき拾った腕輪を取り出して見てみた。 †歩† 「シルバーか…。  見れば見るほど変な形」 ぼ〜と腕輪を眺めながら外側を指でなぞっていった。 半周した頃には指の位置が腕輪の内側に、1周した頃にはまた外側に戻ってきた。 †歩† 「お〜♪おもしれ〜じゃん!♪  そっかコレ、メビウスになってんだな」 何周も指で腕輪をぐるぐる回りながら遊んでいた。 ―――学校――― ―次の日 8月27日― 今日も学校だ。 あの腕輪は家の机の上に置きっぱなしになっている。 †歩† 「おはよ〜」 眠そうに欠伸をしながらクラスに入っていった。 †??† 「おはよ♪」 真っ先に俺に声を返してくれたのはクラスメイトの谷崎葵だった。 高校に入ってから俺がひそかに気になっている子だ。 入学してから地道な努力を続け、今ではだいぶ仲が良くなった。 †歩† 「うん、おはよ♪」 今日は朝から谷崎と話が出来て少し気分がいい。 席に着くと後ろから声をかけられた。 †??† 「朝からご機嫌じゃん?」 †歩† 「別に、んな事ねぇよ」 後ろを振り返りながら答えた。 同じクラスメイトの菊池翔太だ。 †翔太† 「まあまあ、そんな照れるなよ、歩♪」 †歩† 「うるさいなぁ、余計な事言うなよ。」 翔太は俺が谷崎の事が気になっている事を知っていて、こうやってからかったりしてくる。 †歩† 「ほら、先生来たぞ」 話を終わらせ授業が始まった。 2時間目の授業も終わり、次は移動教室だ。 皆が移動していくのを見ていると1人遅れている奴がいる。 これまたクラスメイトの吉澤ゆかりだ。 †歩† 「吉澤、早くしないと遅れるぞ」 †吉澤† 「あ〜北川君〜!!だって教科書見当たらないんだもん。。。」 †歩† 「……その足元に落ちているのは何だ?」 †吉澤† 「えっ?…あっ!!あった!!  北川君ありがとぉぉ♪♪」 †歩† 「いや、俺は何もしてないし。  ほら、行こうぜ」 †吉澤† 「は〜い♪」 ―昼休み― 昼休みになり弁当を食うため屋上に訪れた。 †歩† 「あれ?先客がいる…」 ドアの隙間からコッソリと外を眺めてみた。 1人静かに弁当を食べている少女がいた。 †歩† 「確か…隣のクラスの…若山…だっけ?」 ここでコソコソしている理由もないので俺は屋上に入っていった。 若山は一瞬びくっとしたようだけど気にしないでまた食事を続けた。 少し可笑しくて若山を見ていた…。 †若山† 「……なんですか?」 †歩† 「いや、別に」 †若山† 「あんまり見られると不愉快なんですけど…」 どうやらあまり関わらないほうがいい部類みたいだ。 さっさと飯を終わらせて屋上を後にした。 ―5時間目― 飯を食ったら眠くなってしまった俺は保健室を訪れた。 今日のこの時間は保険の先生がいないのは確認済みだから堂々と寝られる。 †歩† 「失礼しま〜す」 誰もいないとわかっていたが一応声をかけながら入った。 …やはり誰もいない。 †歩† 「ちょっと寝かせて下さい」 独り言を呟きながらベッドに入った。 ―5分後ー コンコン †??† 「失礼します」 †歩† (誰だよ、せっかく眠りに入りかけたのに) カーテンの隙間から覗く †歩† (クラスの学級委員の佐々木じゃん) †佐々木† 「あれ?誰もいない…。  う〜、どうしよう」 †歩† (なんか困ってるみたいだな?) †佐々木† 「あれがないとやばいのに。  今日は持ってきてないからな〜」 †歩† 「あれってなんだ?」 †佐々木† 「きゃあぁ!!」 †歩† 「…お前、ひでぇ奴だな。  クラスメイト見て悲鳴あげなくても…」 †佐々木† 「き、北川君??あ、ごめん」 †歩† 「まあいいけど。  で、あれって何だ?」 †佐々木† 「へ?いや、なんでもない。  じゃ、じゃあね」 †歩† 「あっ、おい?」 佐々木は顔を赤くしながら出て行った。 †歩† 「………あの日だったか?」 1日が終わり帰宅する。 †歩† 「ふ〜、今日も疲れた」 机に置いてある腕輪を手にする。 †歩† 「ふ〜、今日も疲れた」 机に置いてある腕輪を手にする。 †歩† 「明日はコレつけてってみるかな」 そう決めて俺は眠りについた。 谷崎葵 菊池翔太 吉澤ゆかり 若山裕子 佐々木愛 そして―― 北川歩 …この6人が選ばれた…